The Daily Social Distancing Show & Trevor Noah

デイリーショーとトレヴァー・ノア

覚え書き ミリタリー・ザンボニーと笑いの自由

昨日はThe Daily Showより “Invade Us, Canada” を翻訳しました。
The Daily ShowのチームにはTrevor以外にもコメディアンがいて、見ての通り多様性を意識した構成になっています。ほかにも「Stupid!」が決め台詞のマレーシア人コメディアン ronny chieng などが参加しています。正直彼らのコーナーはさほど面白くないので翻訳していませんでしたが、ちょっと...今回のは笑っちゃったね。(Bleep)のとこはtwitterで見た時はまんまfuckと言っていたので、ごはん吹いたわ。
 
隣国に占領してほしいという驚きのジョークで、「え、これいいのかな?」と思ってコメント欄みたけど、全然荒れていないですね。ミリタリー・ザンボニー笑、とか、今から壁立てるわ、カナダ人より。とか書いてある。アメリカが大国で、相手がカナダだから、100%ないわーっていう安心感もあって成り立つジョークではありますが、これが日本の番組だったらどうなるか...ちょっと想像するのも怖いですね。
考えてみるとあちらは笑いの力が重要視されていて、笑いの場を保つことが重んじられる文化なんですね。言論の自由の一部として風刺の自由がある。笑いの自由は民衆の権利、だからみんなで守ろうよ、という感覚なのかな。もちろん「不謹慎だ」と言う自由も保証されているわけだけど、こういう笑いの場においては、それ言ったら誰もなにも言えなくなっちゃうじゃんか、ということは言わない不文律があるんだなと理解しました。そして、カナダの保険制度は全然良くない!とかマジレスしてるコメントも中にはあるんだけど、ほとんどのコメントがジョークで返してる。「カナダの差別は笑顔を添えて、アメリカの差別は膝を添える*1」という超ブラックなのもありました。
日本人にとってのお笑いはどちらかというと日々の生活のお楽しみで、ガス抜き程度の位置付けですが、西洋における風刺の歴史は紀元前5世紀に遡るとのことで、時代の節目節目で時の権力者(教会であったり王政であったり巨大資本主義であったり)への対抗手段としての役割を果たしていますから、銃よりも強い武器という意味合いが歴史的にあるんですね。これがThe Daily Showのように政治や権力をネタにするコメディ番組が成り立つ背景でもあります。
カナダ人のアクセントを馬鹿にするネタは、どちらかというと自分たちが標準だと思い込んでいるアメリカ人のセルフパロディのような感じだし、民主主義を広めるために侵略してきてくれっていうのも、「民主化を支援する」という大義名分の元に他国への軍事介入を繰り返してきたアメリカ自身をネタにしているわけで、アメリカにも自虐ギャグがあったのね、っていうかハイセンスすぎるよ、アメリカの自虐ギャグ。アクセントのくだりは面白いですね、二次言語として英語を学習してる身には、平板なカナダアクセントの方が、Roy Wood Jr. のアクセントよりずっと聞き取りやすいけどね。Roy Wood Jr. はまじで、CC無いと何言ってっかわかんないレベル。この記事を思い出しました。
 
とはいえ、一番笑ったのはサーディンでしたね。Ha!って。
6月5日のTrevorの自宅からの投稿以降、人種差別問題を扱った過去の収録の再掲など、youtubeのチャネルではシリアスTrevorが続いていたので、久々にアホアホなThe Daily Showが見られて安心しました。
 
おまけ:はたらくのりものといえばDPZ。製氷車にも乗ってました(案の定)。
「氷の状態は滑っている音を聞けばわかる」職人の世界。すごいぜ。
 

*1:黒人男性ジョージ・フロイド氏が警官に膝で首を押さえつけられ絞殺されたことから