The Daily Social Distancing Show & Trevor Noah

デイリーショーとトレヴァー・ノア

覚え書き

2回に分けて翻訳したTrevorの「George Floyd, Minneapolis Protests, Ahmaud Arbery & Amy Cooper」。

アパルトヘイトが撤廃される前の南アフリカで、白人と黒人の混血として生まれたバックグラウンドを持ち、これまでも人種差別問題に対して鋭い言説を放ってきたTrevorが、ジョージ・フロイド殺害から続く人種差別への抗議活動、世界中のニュースからCovid-19の文字をほぼ一掃した社会の騒乱に対してどんなコメントを出すのか待っていたのですが、 事件から5日後の5月29日に公開されたこの動画は、Trevorならではの、非常に理解しやすい例えや言い換え、引用を用いて、いかにアメリカ社会の負のエネルギーが長い抑圧の時を経て噴出したのかを語り、18分もの長さでありながら、非常に多くの支持を受けて拡散しました。

私のTwitterのTLも一時はTrevor一色になり、かなり興奮したのですが、さらに6月3日にはFORBES JAPANでも取り上げられていました。

 

 

forbesjapan.com

日本語メディアでTrevorが紹介されるのはまだまだ珍しいので、この動画の影響力がどれほど大きかったかが伺えます。

上の記事では「です・ます調」で翻訳されていますが、私がこの動画を見た印象は、もっと距離が近い感じ、個人的なTrevorからのメッセージという感じだったので、カジュアルな口調で、若い視聴者に語りかけているように翻訳しました。

自由の女神と番組タイトルを表示したパネルの横で、パーカーを着てトークするという、The Daily ShowがThe Daily "Social Distancing" Showになってからの定番スタイルではなく、ベッドに寝そべって、あえて縦画面で自撮り風に撮影した動画は、The Daily Showのチャネルではあるけれど「未編集・ノーチェックで、Trevor自身の個人的な考えを視聴者と共有しますよ。」という演出と捉えたからです。

それもまた、この動画が支持された理由じゃないかな。スタジオ収録された番組を見ていても、最近の自宅からの"Social Distancing" Showを見ていても感じるんだけど、Trevorは視聴者との距離の取り方が非常に巧いんですよね。

 

ところで、もちろん、Trevorはこの動画で「いいぞ、どんどん略奪しろ!」と言っているわけでは無く、「抗議運動は分かるけど、どうして略奪するの?」と思っている人(私自身もそう思っている)に、想像の種、理解の緒を与えてくれているんですよね。

Trevorはしばしば、幼少期の生活が経済的、物質的には決して恵まれたものではなかったことを口にしていますが、努力と才能でそうした厳しい環境から脱して今の地位を勝ち取った人が、安易な自己責任論を口にせず、弱者への共感と理解を説くのはなかなかできないことだと思います。

 

さて、ジョー・バイデンへのインタビューとか、少し前だけどオバマとコロナの卒業式スピーチとか、翻訳したい動画が山ほど溜まってるんですが、次はコメディセントラルの深夜枠らしい、アホアホなやつも翻訳しようかな。